こちらのページでは、イラスト依頼の仕方を筆者が何回も表紙イラストを依頼する中で感じたことや経験も踏まえながら紹介します。
同人誌表紙イラスト依頼の手順
手順は大まかに分けて以下の通りになります。
こちらはある程度きちんとやりとりする場合なので、普段からよく遊んでいる相互さんなどにお願いするときはこの限りではありません。
また、これは筆者が依頼するときに注意していることです。
それぞれの依頼者さんの状況や立場、相手との関係によって必要な礼儀やマナーは異なります。
あくまで参考程度にご覧になり、どのような礼儀が必要かはご自身で判断してください。
連絡手段を確認する
絵師さんによって、連絡手段は様々です。
DMからか、メールアドレスからか、サイトの問い合わせフォームからか。
pixivやTwitter掲載のプロフィールなどに書いてくれていると思うので確認しましょう。
Twitterである程度やり取りのある相互さんなら、メールの方がくどいでしょうし、DMで送ってしまってもいいと思います。
メッセージを送って依頼を受けてくれるか確認する
ここが一番緊張しますが、入念に文章を確認しつつメッセージを送って絵師さんに依頼を引き受けてもらえるか確認してみましょう。
最初にメッセージを送るときに、長くはなってしまいますが、依頼を検討するために必要な情報は全て送りましょう。
依頼を受けていただけませんか?あるいは受けていますか?だけを送ると検討のしようがないので、連絡が二度手間になってしまいます。
依頼を検討してもらうときに必要な事項は以下の通りです。
一つずつ解説していきます。
絵師さんにお願いしようと思った理由(作品の感想など)
お願いしようと思った理由は、相手がクリエイターさんである限り一番重要だと思っています。
何もないと、絵を描ける人なら誰でもよかったんじゃないかという印象を与えてしまいます。
新刊の感想でも、直近であげていたイラストやポートフォリオを拝見した感想でも、なんでも構いません。
とにかくお願いする絵師さんが好きだということ、表紙をぜひお願いしたかったのだという旨を最初に伝えましょう。
スケジュールについて
絵師さんのスケジュールが分からない場合は、着手をお願いしたい日にある程度幅を持たせておくと、お願いできる可能性が上がります。
製作期間に関しては、お願いする相手によるとは思いますが、筆者は着手から完成まで必ず1ヶ月の期間は設けるようにしていました。
また、完成データをいただく日は、入稿日よりも余裕を持ってお願いしておきましょう。
本業の方にお願いする場合はこの限りではありませんが、絵師さんも仕事をしながら絵を描いているので、突然仕事が増えた、体調が崩れたなどやむにやまれぬ事情があって遅れてしまう場合もあります。
その時に、こちらは時間を割いていただくようお願いしている立場ですから、絵師さんを責めるわけにはいきません。
入稿日からは余裕を持ってお願いしておきましょう。
お願いしたい仕様(表表紙だけか、裏表紙や文字入れまでお願いしたいか、本のサイズなど)
こちらも絶対に必要です。
表表紙だけでいいのか、裏表紙の作成やタイトルなどの文字入れまでお願いしたいのか、背景が必要か、背景がある場合はレイヤーを分けた方がいいのか、これらによってお願いする作業量が変わってきます。
後になって裏表紙までは描いていない、文字入れまで必要なんて聞いていない、というトラブルにならないためにも、お願いしたいことは遠慮せず必ず記載しましょう。
どこまでお願いできるか分からない場合は、可能でしたら裏表紙や文字入れまでお願いしたいです、という書き方でどこまでお願いできるか相談をお願いするのもいいと思います。
年齢制限があるか
こちらも絶対に必要です。
BLジャンルにいても、成人向けは描いていない…という方もいらっしゃいます。
実際に描いてもらう段階になって成人向けということが発覚し、トラブルになった、認識のすれ違いが発覚した、ということになると互いに大変です。
全年齢か成人向けかは必ず記載しましょう。
誰を描いて欲しいか
誰を描いて欲しいのか、何人キャラを描いて欲しいのか、はっきり伝えましょう。
描くキャラが一人か二人かで、こちらも作業量が大きく変わるので必要です。
簡単な内容(あらすじ)
内容把握のために必要です。
極端な話になりますが、依頼を引き受けてみたらメリバだった、死ネタだった、人を選ぶ内容だった、となると話が違うとなりますよね。
終わりまで細かく書く必要はありませんが、ほのぼのかシリアスかエロ重視かなどを把握できるくらいの簡潔なあらすじ、そしてハッピーエンドかバッドエンドかメリバか程度のオチは記載しておきましょう。
謝礼について
忙しい中で時間を割いてもらうことになるので、互いに寄稿し合っている、二人で企画した、などの状況でなければ金額の大小はともあれ必ず用意しましょう。
謝礼として必要なのは、個人的には献本+αだと思っています。
献本は必須
まず、献本は必須です。
相手が不要と言っていたり、住所のやり取りを断られたりした場合でなければ必ずしましょう。
誰でも自分が描いて出来上がった本は見たいものです。
以下から+αについて解説します。
献本とは別のお礼ですが、これは依頼する相手によってかなり変わると思っています。
商業で絵を描いている人に依頼する、相互でない方に依頼する
金銭での謝礼が必要だと思います。
予算感やお願いしたい仕様を伝えて、見積もりをお願いしてみましょう。
同人依頼だと5000〜30000円くらいが相場だと言われていますが、相手のフォロワー数やいいね数などにもよりますし、商業をしている方だとこれ以上の金額になることもあると思います。(これまで筆者がお願いした方は、これくらいの金額でお願いできました)
自分でこの方の絵にいくら出せるか、ということを考えて予算感を提示しましょう。
商業で絵を描いている相互さんに依頼する
相手にもよりますが、個人的には金銭で謝礼をした方がいいと思います。
人によっては予算感を提示すると、相互さんなら無料で受けているよ、これくらいの値段で受けているよ、と言ってくださる方もいますので、そういう場合はこちらの意思を押し付けず甘えてもいいと思います。
相手が提示してくれた以上のお礼をしたい場合は、献本の際に粗品を添えましょう。
絵の仕事をしてる方に対して相互だから無料で描いてくれるよね、という態度を最初から取るのは、親しい相手だからこそしてはいけない甘え方かな…と思っています。
趣味で絵を描いている相互さんに依頼する
ある程度仲のいい方にお願いする場合は粗品を送ったり、ランチやディナーを奢ったりなどが互いに気兼ねなくていいと思います。
ただ、親しい相手でも金銭で謝礼をしているという方も見かけますので、難しいですが自分と相手の距離感をふまえて謝礼を考えましょう。
大事なのは、自分が相手の絵にどれだけの価値を見ているか、今の交流の距離感を保つためにはどのようなお礼が適切か、だと思います。
郵送でお礼をする場合は、欲しいものだったり、避けた方がいいものだったりを聞くと、大体どの人も教えてくれます。
ほしい物リストなどを聞いてみるのもいいでしょう。
依頼を引き受けてくれた後
着手が始まる日付までにいただきたいデータの詳細を伝えましょう。
これらの仕様は間違っていると後から修正がきかないので、入念に確認してから送りましょう。
構図指定をする
基本的にどの方にお願いしても構図指定は求められると思ってください。(棒人間、簡単なアタリなどで大丈夫です)
人によっては、さらにそこから、この構図の方が映えますよと提案してくださることはあると思います。
相手がよほど仲が良くて時間的余裕がある方である場合、あるいは二人で作る合同本である場合などを除いて、本文を読んでラフを考えてもらうというのは時間的な事情で不可能です。
また、依頼者が欲しいイメージに近づけるために構図指定は必須なものです。
お絵描きアプリを持っていればそれで描くか、持っていなければ白い紙に描いて写真を撮るなどで構いません。
筆者は手書きで写真を送ったこともありますが、最近はクリスタで描いて送っています。
できればちゃんとした画像で送った方が線や文字もはっきりして、絵師さんもわかりやすいと思います。
CLIP STUDIO PAINT PRO例外として、仲の良い絵師さんと合作などで本を作る場合は、〇〇さんの普段書いてる話のイメージで描くよ、〇〇さんの話好きだから読んでから描きたい、と言ってくださる場合もありました。
相手が仲の良い方の場合はイメージして描いてくださる場合もあるので、構図の決め方について少し話して相談してみてもいいでしょう。
ラフ画をいただく
完全お任せという場合でなければ、どの方も恐らく、こんな感じの絵になるというラフ、あるいはカラーラフをいただけると思います。
この時点でも感想をしっかりと伝えましょう。
好きだという気持ちを伝えたうえで修正をお願いしたい点があった場合は、伝え方に配慮しつつこの時点で一つのメッセージにまとめて伝えましょう。
修正をお願いしたい部分を複数のメッセージに分けて送ると、入れ違いになったり余計な手間が増えたりするのでNGです。
また、描き上がった後にやっぱりここを変えたいといった優柔不断な指摘をすると、修正も大変ですし、絵師さんからの心象も悪くなります。
完成後にお願いできる修正は、簡単な色味の変更や塗り残しなどの絵師さん側のミスだけだと思ってください。
完成したデータをいただく
ファイル転送サービスなどで完成データを送ってきていただけると思います。
しっかりお礼を言って、金銭のやり取りなどがある場合は振り込んだり、献本方法について相談したりして、データをいただきましょう。
いただいたイラストを加工して使用する場合
いただいたイラストをさらにデザイナーさんにお渡ししてデザインをお願いする場合、あるいはこちらで文字入れなどする場合は、pixivなどにサンプルをあげる前に、完成データを見られるか尋ねておきましょう。
自由に使って良いですよと言ってくださる方もいますが、上げる前に完成データを見たいと言う方も多いです。
イラストの使用について
絵の著作権は絵師さんにありますので、ノベルティなど表紙以外の用途がある場合は必ず相談してください。
その他、アイコンやサークルカット、ポスターへの使用やその他加工など、絵の利用について気になる点があれば細かなことでも確認しておきましょう。
一言話していればいいよで済んだことが、無断で使用してしまったことでトラブルになることもあります。
また、サンプルをあげる際は、絵師さんに描いていただいた旨をSNSのIDなど共にきちんと記載しましょう。
文字入れやデザインまでお願いする場合
デザインをお願いするにあたって、入れて欲しい文字がある場合は全てこちらで指定しましょう。
お任せでお願いして、この文字も入れてほしいと後からお願いするのは二度手間になります。
場合によってはデザインを考え直しになってしまいます。
表紙の文字入れで一般的なのは以下の通りです。
表紙イラストを依頼する場合のNG事項
依頼するときは以下の事項に気を付けましょう。
完成品が思ったのと違ったから依頼を取り下げる
たまに見かけますが絶対にやめましょう。
自分がその絵師さんを信頼してお願いしたことは忘れないでください。
自己都合で何度も修正をお願いする
修正をお願いする場合は、行き違いを防ぐために一つのメッセージでまとめて送りましょう。
また、やっぱりこれはやめる、こうしたい、などころころとお願いを変えるのもやめましょう。
修正は簡単なことではありません。
常識を越えての絵の無断使用
何度か上記しましたが、著作権は絵師さんにあります。
サンプル投稿やお品書きへの使用くらいは常識の範囲内ですが、SNSのアイコンやヘッダー、ポスターやノベルティなど、表紙以外の用途に使用する場合は必ず確認を取ってください。
依頼について口外する
守秘義務とまではいいませんが、DMやメールなどでの閉鎖した場所でのやりとりをSNSなど人の目に触れられるところで不用意に口外すると、トラブルの元になります。
たとえば、お礼であげたものなどを口外すると、あの人はこのお礼で受けてくれた!これくらいの金額で引き受けてくれた!など他の方と絵師さんとの間でトラブルが起きる可能性もあります。
依頼内容は基本的に口外しないようにしましょう。
外注サービスを使うと依頼が楽
SKIMA https://skima.jp/
SKIMAやココナラにはイラスト依頼を募集していらっしゃる絵師さんがたくさんいます。
こういった外注サービスを利用することで、依頼料金も分かりやすく、断られる確率も少なくなります。
また、修正などもお願いしやすく、納品までの見通しやスケジュールも立ちやすいです。
表紙をお願いしたいけど誰に依頼したらいいか分からない、と言う場合は利用を考えてもいいかもしれません。
どちらも会員登録は無料です。
【SKIMA】 ココナラ同人誌の表紙イラストを依頼してみよう
coconala https://coconala.co.jp/
かなりハードルが高く感じますが、自分の同人誌の表紙を絵師さんに彩ってもらうととても嬉しくなります。
最近は外注サービスなどもできて敷居も下がってきていますし、よければ挑戦してみてください。